あなたは老後の暮らしを設計するとき、夫婦が受け取れる年金額をもとに計算をしていませんか?
でも、いつかは訪れる別れの日。
あまり考えたくない話題かも知れません。悲しみはもちろんのことですが、現実には、残された夫、妻も生きていくためにはお金が必要なことも事実です。
もしパートナーに先立たれた後の生活について、一緒に考えていきましょう。
目次
パートナーに先立たれてしまったときの生活設計
日本人の平均寿命は、厚生労働省の発表によれば、男性平均寿命は80.98歳、女性の平均寿命は87.14歳です(2016年)。
約6年は女性の方が長生きする可能性が高いことから、まず初めに「夫に先立たれた妻」のケースから整理をしていきましょう。その後、逆のパターン「妻に先立たれた夫」のケースについて整理していきます。
夫に先立たれた妻の生活設計
夫に先立たれた妻の場合、次の3つのケースが考えられます。
- 現役世代に共働きで、妻が厚生年金に加入していたケース
- 夫が会社員、妻が専業主婦のケース
- 夫が自営業のケース
あなたに当てはまるケースはありましたか。それでは順に整理していきましょう。
現役世代に共働きで、妻が厚生年金に加入していたケース
もし夫が亡くなっても、妻は自分の老齢厚生年金が支給されます。
妻が65歳になる前に夫が亡くなってしまったときは、妻は自分の老齢厚生年金か、夫の遺族厚生年金のうち、金額の多い方を受け取ることになります。
妻が65歳以降の場合、妻の老齢厚生年金よりも夫の遺族厚生年金の方が高ければ、妻の老齢厚生年金に加え、その差額を受け取ることができます。
また国民年金にも遺族基礎年金があります。ですが、遺族厚生年金ほど手厚くありません。支給されるのは、18歳未満(高校卒業まで)の子供がいる妻と、その子供のみです。もし18歳未満の子供がいる場合は、給付対象になります。
夫が会社員、妻が専業主婦のケース
妻が厚生年金に加入しなくても、夫が会社員だった場合には、自分の老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金を受け取ることができます。
遺族厚生年金の受給額は、原則として夫の老齢厚生年金の3/4に減額されますが、それでも生活の大きな助けになるでしょう。
ただし遺族厚生年金の受給は、夫が25年以上厚生年金にに加入していたか、または亡くなるまでに加入義務があった期間が2/3以上あることが必要です。
夫がずっと会社勤めでしたら厚生年金保険料の納め忘れ、ということは考えにくいので、受給要件を満たしていると考えても大丈夫でしょう。
気を付けたいのは、転職などによって年金保険の加入空白期間がある場合です。遺族厚生年金を受け取れる、受け取れないは、その後の生活が大きく変わってきます。
もし心配があるようなら、夫の「ねんきん定期便」を確認してみてください。
夫が自営業のケース
夫が自営業だった場合、18歳未満の子供がいるなら遺族基礎年金を受け取ることができます。
18歳未満の子供がいなくても、夫が亡くなったとき妻が65歳未満でしたら、65歳になるまでの間は寡婦年金として夫の老齢基礎年金の3/4を受け取ることができます。
ただし、夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していないことが条件です。夫が65歳を過ぎて、すでに老齢基礎年金を受給している場合は、寡婦年金はもらえません。
遺族基礎年金も寡婦年金ももらえない場合は、死亡一時金が支給されます。
とはいっても、金額は12万円から32万円。一時金なので、一度支給されたら、それで終わりです。これでは、その後の生活の支えにはなりませんね。
国民年金の場合、厚生年金と比較すると、保証が手薄になるのは明らかです。
ですから、投資信託などを活用して「じぶん年金」を作ることを検討しておくとよいでしょう。
妻に先立たれた夫の生活設計
平均寿命で考えると夫が先立つ可能性の方が高いものの、妻が先立ち夫が残される場合も、もちろん考えられます。
まず夫が残された場合、夫が自分で公的年金に加入していれば、その分の老齢年金をもらうことができます。もし、18歳未満の子供がいれば、遺族基礎年金も支給されます。
また、妻が厚生年金に加入していて年金の受給要件を満たしていた場合は、遺族厚生年金も支給されます。
妻が厚生年金に加入しておらず、18歳未満の子供もいない場合は、遺族基礎年金は受給できません。また、妻が3年以上、第一号被保険者として保険料を納付していた場合のみ、死亡一時金が支給されます。
公的年金は、男女平等ではありません。女性の方が男性よりも年金による保証が手厚くなっています。もし、妻に先立たれたら生活が厳しくなるようでしたら、今のうちから、万が一の備えをしておくことが大切です。
まとめ
もしパートナーに先立たれたとき、受給できる年金額が半分になってしまう可能性もあります。二人の生活から一人になったからといって、生活費が半分になるかというと、そんなことはありません。
電気、ガス、水道代は、一人でも二人でも、さほど変化はありませんし、同じ家に住み続けるなら、家賃や固定資産税も変わりません。
年金制度は頻繁に改正が行われているため、いま受給できる見込みであっても、将来どうなるかは不透明なところがあります。
夫婦のどちらかが亡くなった場合について話し合うのは、気が乗らないかも知れません。でも、きちんと話し合っておくことは、お互いの将来のために重要なことです。