年金受取の開始時期は何歳からがお得なの？　結論は･･･

現在、老齢基礎年金の支給開始時期は、基本的に65歳から。この受給開始の時期は、希望すれば前後の5年間にずらすことが可能です。つまり、時給開始時期には次の3パターンから選択をすることになります。

1．そのまま65歳から受給する

2．繰り上げて65歳前から受給する

3．繰り下げて65歳以降から受給する

繰り上げて受給した場合、繰り下げて受給した場合、そして、そのまま65歳から受給する場合、いったい、どのパターンがお得になるのか、ちょっと気になりませんか。

そこで、受給パターン毎のメリット・デメリット、そして結局のところ、どのパターンがお得になるのか整理してお伝えいたします。

ぜひ、受給開始タイミングを決める参考にしてくださいませ。

老齢基礎年金の受給開始日を繰り上げる場合

まず、老齢基礎年金を繰上げ受給する最大のメリット。それは何と言っても、最速で60歳から老齢基礎年金を受け取れることです。60歳で定年を迎える方に取っては、何とも有り難いことです。

ですが、メリットがあれば、デメリットもあります。老齢基礎年金の支給額は、65歳で受給開始するときと比較して、減額されてしまいます。

どれくらい減額されるのかと言いますと、繰り上げた月数×0.5％分が減額されます。しかも、減額は一生涯に渡って続きます。

具体的な金額を出してご説明します。

国民年金の未納がない方でしたら、年間77万9300円（2016年度）が支給されます。このケースで、考えてみます。仮に5年間前倒しして60歳から受給を開始したとしましょう。

年金前倒し（繰り上げ）受給をした場合の減額率は、

　減額率 = 0.5% × 繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数

で求められます。5年間の繰り上げ受給をすると減額率は、

　30% = 0.5％ × 12ヶ月 × 5年

になります。年間77万9300円の30％減で、54万9000円が支給される計算です。約23万円の減額となる計算です。

確かに5年間早く年金を貰えますが、あなたが76歳よりも長く生きると、繰上げ受給をしない方が受給総額が上回ります。

現在の平均寿命は、男女ともに80歳を超えており、年々寿命は延びる傾向にあります。平均寿命のことを考慮すると、あなたも76歳以上生きる可能性の方が高そうです。

また老齢基礎年金の受給がスタートした時点で、障害年金の受取ができなくなります。もし老齢基礎年金の繰り上げ請求をした後に、不幸にも何らかの障害を負ってしまったら･･･。受給できるはずの障害年金を受け取る権利が無くなってしまうのです。

長生きする可能性が高いこと、障害年金の受取権利が喪失してしまうこと、を踏まえ総合的に考えると、安易に繰り上げ受給を決めることは控えた方がよさそうです。

まずは、60歳から65歳までの5年間に必要な資金を蓄えたり、何らかの形で働き口を確保するように準備を進めることが第一です。

老齢基礎年金の受給日を繰り下げることを選択した場合、受給開始を遅らせるほど、逆に受給額が増えます。1ヶ月の受給を遅らせることで0.7％増額となり、最遅で70歳まで繰り下げることができます。

例えば、一年間の繰り下げをすると受給額が8.4％アップします。満額受給者の場合、年間約6万5000の増額です。これだけ増えれば、一泊二日の旅行を楽しむことも出来そうです。

たった一年間の受給繰り下げをするだけで、ノーリスクで8.4%もの運用ができる金融商品は、そうそうありません。しかも一生涯に渡って続くのです。

ただし、全ては結果論です。

受給額を増やすために頑張って繰り下げたとしても、万が一のことがあった場合は、逆に受給総額が減ってしまう可能性もあります。平均寿命まで生きることを想定すれば、間違いなく繰り下げ受給をする方が有利になります。

受給開始の時期についてまとめると、

年金は65歳より繰り上げて受給した場合、一ヶ月当たり0.5%、最大で30%もの減額になってしまうのは、少しもったいない。

一方で、繰り下げをすると一ヶ月あたり0.7%、年間で約6万5000円もの増額になるものの、年齢が高まるため、万が一の可能性も高まってしまいます。

以上から、総合的に判断すると、65歳から年金を受給するのがベストな選択でしょう。60歳からの5年間を貯蓄で乗り切るか、働いて収入を得ることができるよう、今から準備を進めるのがよさそうです。