日本は世界でもトップクラスの長寿国。元気で長生きすることができたら、最高ですよね。
でも実際は、内閣府の平成28年度版高齢社会白書によると、75歳以上の23.3%の方が要介護の認定を受けています。
これは、あくまでも公的な認定を受けている方のみ。公的な認定を受けていない方も含めると、4人に1人は要介護の状態といっても良いのではないでしょうか。
あなたにとって介護とは、あなたの親世代のことに感じているかもしれません。まさに、いま、介護の中かもしれませんね。
でも、いずれ自分自身が介護を受ける側になる、ということを忘れないでください。自分は大丈夫・・・と思っているかもしれませんが、長生きするリスクから目をそらさず向き合うようにしたいものです。
目次
公的介護保険の基礎知識
そこで、まずは公的介護保険の基礎知識を、一緒に確認していきましょう。
公的介護保険は、2000年4月から導入されました。40歳以上の全国民が公的介護保険に加入することになり、併せて被保険者になります。あなたもすでに公的介護保険の加入者で、介護保険料を支払っているのではないでしょうか。
公的介護保険では、40歳から64歳までを第2号被保険者、65歳以上を第1号被保険者と言います。国民健康保険の第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の分類とは異なりますので、ご注意ください。
公的介護保険の第1号被保険者と第2号被保険者では、制度の利用条件等が異なります。以下に簡単に整理しておきます。
- 第1号被保険者
- 要介護の認定を受けると制度を利用することができる
- 第2号被保険者
- 法令で定められた16種類の特定疾病(※1)によって要介護状態になった場合に制度を利用できる
ガン(ガン末期)、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、後縦靱帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、初老期における認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、早老症、多系統萎縮症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護サービスの利用料は1割から2割負担に
介護保険の加入者は、介護が必要だと認定されると、介護サービスを1割(10%)又は2割(20%)の自己負担で受けることができます。
なお、自己負担が2割(20%)になるのは、
- 本人の合計所得金額が160万円以上
- 単身で年金収入のみの場合は年収280万円以上
- 65歳以上の人数が2人以上の世帯の場合は合計346万円以上
のいずれかに該当する場合です。
介護サービスの上限額は要介護度によって決まる
介護サービスの支援額には上限があり、要介護度によって異なります。
要介護度とは、介護を必要とする度合いを7段階に分類したものです。要支援1が最も軽い状態、要介護5が最も重い状態を示します。
要支援1<要支援2<要介護1<要介護2<要介護3<要介護4<要介護5
認定された要介護度によって、介護保険からの支給限度額が決まることから、介護認定はとても重要です。
なお、限度額は自治体によって若干異なりますが、おおよそ以下のとおりです。
- 要支援1 ・・・ 50,030円
- 要支援2 ・・・ 104,730円
- 要介護1 ・・・ 166,920円
- 要介護2 ・・・ 196,160円
- 要介護3 ・・・ 269,310円
- 要介護4 ・・・ 308,060円
- 要介護5 ・・・ 360,650円
正確な金額については、各自治体の各窓口へお問い合わせをしてみてください。
介護認定を受けるには
介護認定を受けるためには、自ら自治体に申請をしなければなりません。
申請しなければ介護保険を利用できませんので、介護が必要になときは、すぐに申請を行ってください。
介護認定の結果は、申請から30日以内に通知されます。介護認定の判定にあたっては、医師の意見書も影響しますから、主治医に詳しく症状を把握していただくと良いでしょう。
なお、要介護度の平均的な状態は以下のとおりです。
- 要支援1
- 身の回りの世話等の一部に手助けを必要とする
- 立ち上がり時などの複雑な動作に支えが必要なことがある
- 要支援2
- 身の回りの世話等に手助けを必要とする
- 立ち上がり時などの複雑な動作に支えを必要とする
- 歩行などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある
- 要介護1
- 要支援2の状態に加え、問題行動や理解低下が見られることがある
- 要介護2
- 身の回りの世話の全般に手助けを必要とする
- 立ち上がり時などの複雑な動作に支えを必要とする
- 歩行などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある
- 排泄や食事に何らかの手助けが必要なことがある
- 問題行動や理解低下がみられることがある
- 要介護3
- 身の回りの世話が自分一人でできない
- 立ち上がりなどの複雑な動作が自分一人でできない
- 歩行などの移動の動作が自分でできないことがある
- 排泄が自分一人でできない
- 複数の問題行動、全般的な理解低下が見られることがある
- 要介護4
- 身の回りの世話がほとんどできない
- 立ち上がりなどの複雑な動作がほとんどできない
- 歩行などの移動の動作が自分一人でできない
- 排泄がほとんどできない
- 多くの問題行動、全般的な理解低下が見られることがある
- 要介護5
- 身の回りの世話がほとんどできない
- 立ち上がりなどの複雑な動作がほとんどできない
- 歩行などの移動の動作がほとんどできない
- 排泄や食事がほとんどできない
- 多くの問題行動、全般的な理解低下が見られることがある
介護保険で受けることができるサービス
残念ながら、介護サービスのすべてが介護保険で賄われるわけではありません。
何が保険内で、何が保険外なのか細かく見ていくのは大変です。実際は、ケアマネージャー(介護支援専門員)という専門家が、介護保険の範囲内で介護計画(ケアプラン)を計画してくれますから、細かいお金の計算を自分でする必要はありません。
ケアプランの策定は無料です。どのようなサービスを受けたらいいのか等の希望は、遠慮なくケアマネージャーに伝えて、納得のいく介護サービスを受けられるようにしてください。
ケアマネージャーに丸投げしないこと
だたし、ケアマネージャがケアプランを立案してくれるからといって、すべて丸投げすることはオススメしません。
なぜなら、自分自身に知識がないと、自分の希望を正確にケアマネージャーに伝えることができないからです。
今のうちから情報を収集をして、自分が介護を受けるときの希望を事前に家族へ伝えておくとよいでしょう。
そうすれば、いざ本当に自分が介護を受けるときに、自分も周りの方も、安心して対応できます。
まとめ
75歳以上の23.3%の方が要介護の認定を受けている現状を鑑みると、けっして、介護を受ける、ということは決して他人事ではないと感じるのではないでしょうか。
公的介護保険があるため、もし介護が必要になったとしても、非常に高額なお金が必要になることはありません。
とはいえ、介護に関する法律やサービスは、近年急速に変化をしていますから、常にアンテナを張って情報を収集することが大切です。