保険料を払いすぎていませんか?老後に向けた保険整理のすすめ

夫婦関係
この記事は約8分で読めます。
スポンサーリンク

毎月の保険料、本当に必要な金額でしょうか

50代や60代になり、子どもの独立や住宅ローンの完済を迎えた今。ふと保険証券を見返してみると、月々の保険料が想像以上に高額だったと気づかれる方は少なくありません。

生命保険文化センターの「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」(2025年1月発行)によると、世帯主が55〜59歳の世帯では、年間保険料の平均が40.7万円にも上ります。月額に換算すると約3.4万円。この金額を老後資金に回せたら、どれほど心強いでしょうか。

保険は「万が一」に備えるための大切な手段です。しかし、ライフステージが変われば、必要な保障の内容も変わります。かつて家族を守るために必要だった大きな死亡保障が、今も本当に必要なのか。一度立ち止まって考えてみる価値があるのではないでしょうか。

スポンサーリンク

こんなサインがあれば保険を見直すべきタイミング

保険の見直しが必要かどうか、いくつかのサインがあります。ご自身の状況と照らし合わせながら、確認してみてください。

まず、子どもが社会人になり独立したケース。教育費の負担が終われば、万が一の際に遺族が必要とする生活費は大きく減ります。厚生労働省と日本年金機構のデータ(2025年度)によると、遺族厚生年金の平均受給額は月額約8.3万円、遺族基礎年金は年額約83.2万円(月額約6.9万円)です。これに配偶者自身の収入や年金を加えれば、以前ほど大きな死亡保険金は必要ないかもしれません。

次に、住宅ローンを完済した場合。ローン返済中は団体信用生命保険(団信)でカバーされていた住居費の心配がなくなり、別途加入していた死亡保険の必要額も減少します。

また、定年退職を控えている、あるいは既に退職されている方。収入が年金中心になると、高額な保険料の負担が家計を圧迫する可能性が高まります。総務省の家計調査(2024年)では、65歳以上の夫婦無職世帯の平均支出は月額約26.5万円。年金収入だけでは月3万円前後の不足が生じることもあり、固定費の見直しは待ったなしの状況です。

さらに、保険加入時から10年以上経過している場合も要注意。医療技術の進歩により入院日数は短期化傾向にあり、昔の保険では現在のニーズに合わない可能性があります。

スポンサーリンク

老後に本当に必要な保障とは

では、老後にはどのような保障が必要なのでしょうか。優先順位をつけて考えてみましょう。

死亡保障は最小限に抑える

子どもが独立し、住宅ローンも完済していれば、死亡保障は大幅に減額できます。必要なのは、配偶者の当面の生活費と葬儀費用程度。鎌倉新書の「第6回お葬式に関する全国調査」(2024年)によると、葬儀費用の全国平均は118.5万円です。これに配偶者の生活費補填分を加えても、500万円から1,000万円程度あれば十分なケースが多いでしょう。

生命保険文化センターのデータでは、世帯主の平均死亡保険金額は1,936万円となっていますが、これは全年齢層の平均値。実際には55歳以降、年齢を増すごとに必要保障額は減少する傾向にあります。

医療保障の重要性が増す

一方で、年齢とともに医療への備えは欠かせなくなります。厚生労働省の「2023年患者調査」によると、75〜79歳の入院率は45〜49歳の約6倍にも上るのです。

公的医療保険には高額療養費制度があり、1カ月の医療費自己負担額には上限が設けられています。なお、2025年8月から自己負担限度額を引き上げる予定でしたが、政府は見直しを凍結し、2025年秋までに改めて議論することになりました。ただし、後期高齢者医療制度(75歳以上)では、2025年10月から自己負担限度額が月額18,000円に統一されます。

とはいえ、差額ベッド代や入院時の食事代の一部は高額療養費制度の対象外。医療保険の入院日額は5,000円から1万円程度を確保しておくと安心です。

特に重要なのが先進医療特約。重粒子線治療など、高額な先進医療の技術料は全額自己負担となるため、この特約は付けておくことをおすすめします。

がん保険は別途検討を

50代以降、がんの罹患率は急激に上昇します。診断給付金100万円から200万円、通院給付金、抗がん剤治療の保障など、がんに特化した保険の加入も検討する価値があるでしょう。医療保険にがん特約として付加する方法もあります。

介護への備えも視野に

生命保険文化センターの「2024年度生命保険に関する全国実態調査」では、介護費用の月平均は約9万円(在宅介護5.3万円、施設介護13.8万円)、平均介護期間は約5年で、総額約540万円かかるとされています。公的介護保険でカバーされる部分はあるものの、施設入居の場合の居住費や食費は全額自己負担です。民間の介護保険も選択肢の一つとして考えておきたいところ。

スポンサーリンク

保険見直しの具体的なステップ

実際に見直しを進める際の手順をご案内します。ご自身のペースで、一つずつ進めていってください。

ステップ1:現状を把握する

まずは、すべての保険証券を集めて整理してください。加入している保険の種類、保険金額、保険料、保険期間を一覧表にまとめると分かりやすくなります。年間の保険料総額も計算しましょう。意外な高額に驚かれる方も多いはずです。

ステップ2:必要保障額を計算する

次に、実際に必要な保障額を試算します。

死亡保障なら、葬儀費用(約120万円)、配偶者の生活費不足分(月5万円として25年分で1,500万円)、予備費(300万円)を合計すると、約1,920万円。ただし遺族年金でカバーされる部分を差し引けば、実際の必要額は1,500万円から2,000万円程度と考えられます。

現在の保険金額がこれを大きく上回っているなら、減額の余地があるということです。

ステップ3:保険種類ごとに見直す

定期保険は保険料が比較的安い反面、更新時に保険料が大幅に上がります。必要保障額が減っているなら、思い切って解約するか、保険金額を減額するとよいでしょう。

終身保険は一生涯保障が続くため、葬儀費用分として300万円から500万円程度残しておき、それ以外を減額する方法があります。解約返戻金がある場合は、元本割れしないタイミングを確認してください。

医療保険は、年齢が上がると保険料も高くなるため、安易に解約するのは避けたいところ。既存の契約を維持しつつ、保障内容が古い場合のみ新しい商品への切り替えを検討します。ただし、健康状態によっては新規加入できない可能性もありますので、必ず新契約の引受を確認してから旧契約を解約してください。

ステップ4:専門家に相談する

保険の見直しは複雑です。お一人で判断が難しいと感じられたら、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談をおすすめします。

無料相談は保険ショップなどで受けられますが、保険販売手数料で運営されているため、商品提案に偏りが出る可能性もあります。一方、有料相談は時間あたり5,000円から2万円程度かかるものの、中立的なアドバイスが得られるメリットがあるでしょう。日本FP協会のCFPやAFP認定者を選ぶと安心です。

スポンサーリンク

見直し時の注意点と失敗しないためのポイント

保険の見直しには、いくつか注意すべき点があります。

解約返戻金の元本割れリスク

終身保険や養老保険を早期解約すると、払い込んだ保険料総額を下回る返戻金しか戻らないことがあります。特に加入後10年以内の解約は大きく元本割れする可能性が高いため、解約前に返戻金額を必ず確認しましょう。払済保険への変更(保険料支払いを停止し、保障を縮小して継続)という選択肢もあります。

健康状態による新規加入の制限

年齢が高くなるほど、健康状態による加入制限は厳しくなります。既存契約を解約する前に、必ず新契約の引受を確認してください。「新契約の成立→旧契約の解約」の順序を守ることが鉄則です。

もし健康上の理由で通常の保険に加入できない場合、引受基準緩和型保険という選択肢があります。告知項目が3つ程度と少なく、持病がある方でも加入しやすい仕組みです。ただし保険料は通常の保険より1.2倍から1.5倍程度高く、契約後1年間は給付額が50%程度に削減される場合がある点には注意が必要です。加入年齢は20歳から85歳程度までの商品が多くなっています。

保障の空白期間を作らない

がん保険には90日間の免責期間(待機期間)があります。旧契約を解約してから新契約を結ぶまでに空白期間があると、その間に万が一のことがあっても保障が受けられません。スケジュール設定には十分気をつけてください。

焦らされる勧誘に注意

「今の保険は古いので損しています」「今月中に契約しないと条件が悪くなります」といった勧誘文句には注意が必要です。即日契約は避け、必ず家族や信頼できる第三者に相談する時間を取りましょう。クーリングオフ制度があることも覚えておくと安心です。

スポンサーリンク

保険以外の選択肢も視野に入れる

保険だけに頼らない老後の備えも大切です。

2024年1月に制度改正された新NISAでは、年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)まで非課税で投資できます。生涯非課税保有限度額は1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)となり、長期的な資産形成に活用できるでしょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛金全額が所得控除の対象となり、老齢年金の上乗せにもなります。2024年12月からは、企業型確定拠出年金との併用時の掛金上限が引き上げられるなど、制度の利便性が高まっています。

ただし、投資には元本割れのリスクがあることを理解しておく必要があります。預貯金は流動性が高く、緊急時にすぐ対応できる利点もあるため、保険・投資・預貯金をバランスよく組み合わせることが賢明です。

スポンサーリンク

今からできる具体的なアクション

保険の見直しは、一度にすべてを変える必要はありません。できるところから少しずつ始めてみましょう。

  • すべての保険証券を集めて、保障内容と保険料を一覧表にまとめる
  • 年間保険料の総額を計算し、家計に占める割合を確認する
  • 日本年金機構の「ねんきんネット」で、将来受け取れる年金額を試算する
  • 遺族年金の受給額を確認し、必要な死亡保障額を計算する
  • 保険会社に解約返戻金額を問い合わせる(終身保険・養老保険の場合)
  • 無料・有料問わず、ファイナンシャルプランナーへの相談を検討する
  • 厚生労働省のウェブサイトで高額療養費制度の最新情報を確認する
  • 金融庁のウェブサイトで新NISAの詳細を確認する
スポンサーリンク

無理のない範囲で、着実に前へ

保険の見直しは、老後の生活設計を考える上で重要なステップの一つです。過剰な保険料を削減できれば、その分を老後資金に回すことができます。年間10万円の保険料削減でも、10年間で100万円。決して小さな金額ではありません。

大切なのは、焦らず、慎重に判断することです。複数の相談先で意見を聞き、じっくり比較検討してください。保険は長期にわたる契約ですから、納得いくまで時間をかけることが何より重要でしょう。

今日から、まずは保険証券を集めるところから始めてみませんか。一つひとつ確認していくうちに、ご自身に本当に必要な保障が見えてくるはずです。老後に向けて、無理のない範囲で着実に準備を進めていきましょう。

タイトルとURLをコピーしました